近年、日本社会は超少子高齢化の波に直面しています。この変化は医療や福祉制度にも大きな影響を及ぼしており、私たち自身の健康管理がますます重要になっています。
特に、健康寿命を延ばすためには、インナーマッスルを鍛えることが効果的です。この記事では、日本の医療事情を考察しつつ、インナーマッスルの重要性とその具体的な鍛え方について解説します。
超少子高齢化の影響とは?
超少子高齢化は、医療制度に多くの課題をもたらしています。現在、総人口に対して65歳以上の高齢者は28.9%となっており、約4人に1人の割合です。さらに、2030年には3人に1人の割合になると推計されています。
高齢者の増加に伴って医療費は増大するので、若年層の負担は重くなる一方です。これにより、医療資源の配分やサービス質が問われるようになります。また、介護の必要性も増加し、家庭や社会全体に重い負担がかかりることになります。
さらに、高齢者がかかる病気の種類も変わりつつあります。生活習慣病や認知症など慢性的な疾患が増加しているため、予防や早期発見が不可欠となります。個人個人が健康寿命を延ばすための取り組みを行うことが、一層重要になっていくでしょう。

私たち一人一人が対策できることは?
私たち一人一人が健康管理を行うことは、実は医療システムの負担軽減につながります。例えば、毎日の健康状態を自ら把握することや、基礎体力をつけることなどが簡単な方法です。
また、ストレス管理も併せて行うとさらに良いでしょう。なぜなら、心身の健康を維持するためには、メンタルヘルスへの配慮も必要なためです。ヨガやピラティスなどの運動は、身体的な健康だけでなく、精神的な安定ももたらします。
毎日の健康状態を把握する
家庭で財政状況を把握する場合、「家計簿」をつけることが分かりやすいと思います。同様に、自分の身体の状態を把握するためには、毎日健康データを記録することが大切です。日々の健康データをつけることで自分の平均値を把握できれば、変化が現れた時にすぐに気がつくことが可能となります。そのデータは、クリニックを受信する際に、医師にとっても役立つ情報になるでしょう。
例えば、同じ時間の血圧や体重を毎日記録することから始めてみると良いでしょう。一冊ノートを用意して記入していく方法ならすぐに始められると思います。記録することに慣れてきたら、体組成(体脂肪率・筋肉量)や心拍数、脈拍、血中酸素レベル(SpO2)、睡眠の質、そして毎日の歩数や消費カロリーなど、自分で続けられそうな項目を増やしていくことをお勧めします。
また、最近はリストバンド型や腕時計などのウェアラブルデバイスも普及しています。体重や血圧、歩数データなどの管理は、スマホのアプリでも簡単にできるようになっています。例えば、お勧めの「健康管理アプリ」には次のようなものがあります。アナログよりデジタルを好む人は、これらを利用すると便利です。
| Appleヘルスケア | iPhoneに搭載されているAppleが提供する無料アプリ。 血圧測定や血糖値、歩数などのなどの健康データを保存できる。2023年現在、ヘルスケアアプリで保存されるデータの種類は、歩数、歩行・走行距離、歩行安定性、登った段数、心拍数、栄養、睡眠分析、心拍変動、体重、心の健康状態などがあります。 |
| OMRON Connect | オムロンの家庭用健康機器で計測した体重や血圧、歩数などのバイタルデータを個人のスマートフォンに転送し、簡単に記録・管理できるアプリです。 個人の利用者の方には無償で提供されています(App Store、Google Playからダウンロードできます)。 |
| ヘルスコネクト | GoogleのAndroidアプリ「ヘルスコネクト」は、FitbitやFitなど世界の40以上のアプリと連携しています。例えば睡眠アプリなどと連携することで睡眠と運動量の関係を理解できたり、血圧・血糖値、食事記録、心拍数などののデータを連携して健康管理に役立てられます。 |


まだつけていない人は、継続できる記方法で今日から始めてみてはいかがでしょうか。
基礎体力をつける
「基礎体力」とは、健康的で活動的な日常生活を送る上で必要な体力のことです。具体的には筋力、持久力、柔軟性、バランスの4つを指しています。基礎体力の維持は、自立した生活を続け、寝たきりや要介護状態を防ぐために不可欠です。
高齢者が基礎体力をつけるには、無理のない軽い筋トレや有酸素運動、たんぱく質をしっかり摂ることが大切です。筋トレは、特別な道具を使わなくても、自宅で安全に続けることができます。
お勧め動画▶︎ 【シニア特集】 足腰を鍛えよう / 体力づくり / 初心者のためのダンス
適度な運動で筋肉や心肺機能を保つことは、病気の予防やメンタルの安定にもつながります。このようにして、転倒や寝たきり、フレイル(虚弱)を防ぎ、自立した生活を長く続け、健康寿命を延ばしましょう。
インナーマッスルを鍛えて高齢化社会に備える
高齢者にとっては、インナーマッスルを強化することで、日常生活の質(QOL)を維持・向上させるための多くのメリットがあります。まず、転倒予防や歩行能力の向上に直結します。体のバランスを保ち、怪我の予防になります。

筋肉には、重い物を持ち上げたりするアウターマッスル(表層筋)と、姿勢をキープしたり関節の動作を安定させるインナーマッスル(深層筋)との2種類があるんです。インナーマッスルは細かいものを含めて約600種類あると言われていて、全身の筋肉の約9割も占めているんですよ。
次に、インナーマッスルの強化は、関節や骨の健康を保つことにも寄与します。体の深層部で関節を支える筋肉が強くなることで、関節への負担が軽減されます。体幹部のインナーマッスルは、お腹周りをぐるっと囲んで体をサポートするため、「天然コルセット」や「コルセット筋」などと呼ばれます。例えば、腰痛持ちの人は、ここを鍛えることで腰椎への負荷が減り、慢性腰痛の緩和が期待できます。
また、疲れにくい体になるというメリットもあります。インナーマッスルは、アウターマッスル(表面の触れる大きな筋肉)が効率よく働くための「土台」になります。土台がしっかりすると、「歩く」「立ち上がる」「荷物を持つ」といった日常動作がスムーズになります。それにより、無駄な力を使わなくなり、疲れにくくなります。
さらに、体全体の筋肉量が増えることで、基礎代謝も上がります。それによって、肥満防止や生活習慣病の予防につながります。これらの要素が組み合わさることで、健康寿命の延長が実現します。
最後に、インナーマッスルを鍛えるメリットを下にまとめます。
インナーマッスルを鍛えるメリット
上記の通り、インナーマッスルは高齢者に限らず、全ての人にとって鍛えておく必要のある筋肉であることがわかります。次の章では、インナーマッスルの働きについて、さらに掘り下げていきましょう。
インナーマッスルが必要な具体例
インナーマッスルの重要性について、いくつか具体例を挙げてご紹介します。
正しい姿勢の維持
インナーマッスルは、正しい姿勢を維持するために非常に重要です。特に、デスクワークが多い現代社会では、姿勢が崩れやすくなっています。インナーマッスルを鍛えることで、背中や腹部の筋肉が強化され、自然と正しい姿勢を保つことが可能になります。
具体的に、姿勢を保つために必要なインナーマッスルは、『腹横筋』と『多裂筋(たれつきん)』です。


「腹横筋」は腹筋群のインナーマッスルで、腹式呼吸で息を吐く際に最も働く筋肉で、天然コルセットとも呼ばれ、体の軸がぶれないように体幹を安定させるために必要です。
「多裂筋」は、首から腰を支える背骨の深いところにある小さな筋肉です。座っているときも、立っているときも背筋を伸ばした姿勢を保つには、この筋肉を鍛えておく必要があります。

四十肩・五十肩の予防
四十肩や五十肩は、肩関節周りの筋肉や靭帯が衰えることで発生します。インナーマッスルを強化することで、肩周りの筋力が向上し、肩の可動域が改善されます。これにより、これらの症状を予防することが可能になります。
肩関節の動きが悪いケースは、肩甲骨と上腕骨をつなぐ『回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)』と呼ばれるインナーマッスルを鍛えることで、肩関節を安定させスムーズに動かせるようになります。回旋筋腱板は「ローテーターカフ」とも呼ばれます。
また、肩をよく使う野球などのスポーツでは、このインナーマッスルが怪我防止やパフォーマンスアップのためにとても大事です。
このように、肩のインナーマッスルを鍛えることは四十肩・五十肩の予防にも効果的です。


尿もれ防止と姿勢改善
高齢者に多い尿もれの問題も、インナーマッスルを鍛えることで改善できます。特に、骨盤底筋を意識的に鍛えることで、尿もれのリスクを低減できます。さらに、姿勢が良くなることで、内臓の位置も安定し、全体的な健康が向上します。
『骨盤底筋』を鍛えると良い理由は、骨盤内にある内臓を下から支えて、排尿・排便のコントロールしているためです。骨盤底筋を鍛えることで、尿もれ防止に役立つほか、体幹が安定して姿勢を維持しやすくなるので姿勢改善にも繋がるのです。


柔軟性の向上
体全体の柔軟性を向上させるには、インナーマッスルを鍛える必要があります。柔軟性が高まると、日常生活での動作がスムーズになり、怪我のリスクが減少します。また、運動後の疲労回復も早くなり、活動的な生活を送ることができるようになります。
つまり、体を柔らかくしたいからと闇雲にストレッチをしても、期待する効果が得られないわけです。柔軟性アップの秘訣は、インナーマッスルを上手に使うことなのです。
例えば、前屈で胸やお腹を腿にくっつけるには、インナーマッスルも上手に使う必要があります。実は柔軟性には、伸ばす筋肉と反対側の収縮する筋肉との相反する関係が必要だからです。
そのため、立位前屈のようなストレッチでは、お尻や腿裏の筋肉を伸ばすのと同時に、大腿骨と背骨をつないでいる「大腰筋」というインナーマッスルを収縮させる必要があります。大腰筋は、日常生活での歩行や、立ち姿勢の維持、階段昇降時の太ももの引き上げ、体幹の安定などに使われるとても重要な筋肉です。


インナーマッスルを鍛えるには?
アウターマッスル(表層筋)を鍛える場合であれば、トレーニングマシンやダンベルなどを使い負荷の高いウェイトトレーニングが効果的です。ところが、インナーマッスル(深層筋)を鍛えるには、軽いダンベルやチューブなど低負荷で回数を増やす方法が有効となります。
そのためヨガやピラティスのように自重でゆっくり行う動きは、インナーマッスルの強化にとても効果的です。つまり、地味な動きを何回も繰り返し行うことが大切なのです。また、これらの運動は、専門的な指導の下で行うことで、正しいフォームを習得することができます。特に、呼吸を意識しながら行うことで、筋肉に対する意識が高まり、効果的に鍛えることができます。
また、自宅でインナーマッスルを鍛えられるヨガポーズも多数存在します。例えば、「プランク」や「橋のポーズ」などの体幹を鍛える運動は、簡単に取り入れることができます。日常生活に少しずつ運動を組み込み、無理なく続けることが重要です。
仰向けで息を吐きながらお腹を凹ませる「ドローイン」は腹部の強化にお勧めです。このように簡単なエクササイズで、無理なく継続することが大切です。
お勧め動画▶︎ 腹部のインナーマッスル強化(ドローイン)
インナーマッスルのトレーニングは、効果を実感するのに時間がかかりますが、長く継続することで大きな効果を得られるので、根気よく続けましょう。

まとめ
超少子高齢化が進む日本社会において、インナーマッスルを鍛えることは健康寿命を延ばすための重要な手段です。正しい姿勢や柔軟性の向上、四十肩・五十肩の予防、尿もれ防止など、具体的な効果が期待できます。
私たち一人一人が健康管理に取り組むことで、未来の医療負担を軽減し、より良い生活を送ることができるでしょう。インナーマッスルのトレーニングを日常に取り入れ、健康的なライフスタイルを実現していきましょう。
〜健康は1日にして成らず、心も身体も〜



