ヨガのムドラー12種類|手の形・伝統的な意味・実践方法を一覧で紹介

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ヨガや瞑想で使われる「ムドラー」には、さまざまな種類があります。親指と人差し指で輪をつくる形、胸の前で両手を合わせる形、手のひらを上に向ける形など、手や指の組み合わせによって形もさまざまです。

「どんなムドラーがあるの?」
「手の形はどうやってつくる?」
「それぞれには、どんな意味があるの?」

そんな方に向けて、この記事ではヨガや瞑想で知られている12種類のハンドムドラーを取り上げます。それぞれの「手の形・やり方」「伝統的な意味」「実践するときのポイント」を、初めての方にもわかりやすく紹介していきます。

ムドラーには、ヨガやインドの伝統のなかで受け継がれてきたさまざまな意味や考え方があります。ただし、「エネルギーを整える」「身体に働きかける」といった説明は伝統的な考え方に基づくもので、医学的・科学的な効果が確立されているという意味ではありません。

効果を求めすぎず、気になるムドラーを見つけたら、実際に手を動かしながら呼吸や指先の感覚を観察してみましょう。

ハンドムドラーとは?

「ムドラー(Mudrā)」とは、サンスクリット語で「印(しるし)」や「象徴」といった意味を持つ言葉です。インドの宗教や文化のなかで古くから受け継がれ、ヨガや瞑想のほか、宗教儀礼や伝統舞踊などでもさまざまな形が用いられてきました。

ムドラーには手や指でつくるものだけでなく、身体全体を使うものなど、さまざまな種類があります。そのなかでも、手や指で特定の形をつくるものが「ハンドムドラー(手のムドラー)」です。

ヨガや瞑想では、親指と人差し指を合わせたり、胸の前で両手を合わせたりするハンドムドラーを目にすることがあります。手の形にはそれぞれ伝統的な意味や象徴が伝えられており、呼吸や瞑想とともに取り入れられてきました。

ただし、ムドラーの名称や手の向き、指の組み方、伝統的な意味の解釈は、流派や文献によって異なる場合があります。たとえば、よく似た手の形を持つ「ギヤーナ・ムドラー」と「チン・ムドラー」も、資料によって名称や手の向きの説明に違いが見られます。

そのため、「この形だけが唯一の正解」と考えるよりも、どのような伝統や考え方のなかで紹介されているのかを知ることも、ムドラーを学ぶ楽しみのひとつです。

この記事では、ヨガや瞑想で知られているハンドムドラーのなかから12種類を取り上げ、手の形や伝統的に伝えられている意味、実践するときのポイントを写真とともにご紹介します。

ヨガで知られるハンドムドラー12種類

ここからは、ヨガや瞑想で知られている12種類のハンドムドラーを、一つずつ詳しく見ていきましょう。ムドラーにはそれぞれ異なる手の形があり、伝統のなかでさまざまな意味や象徴が伝えられてきました。ただし、名称や手の向き、意味の解釈などは、流派や文献によって異なる場合があります。

ここでは、それぞれのムドラーについて「やり方」「伝統的な意味」「実践のポイント」の3つに分けてご紹介します。写真を参考に実際に手を動かしながら、指先が触れる感覚や手の向き、呼吸にもゆっくり意識を向けてみてください。

ギヤーナ・ムドラー(Gyan / Jnana Mudra)

ギヤーナ・ムドラーは、親指と人差し指を軽く合わせて輪をつくる、ヨガや瞑想でよく知られている手の形です。「ギヤーナ(ジュニャーナ/Jnana)」は、サンスクリット語で「知識」や「智慧」といった意味を持つ言葉です。

チン・ムドラーとよく似ており、両者を手のひらの向きで区別する説明もあります。ただし、どちらを上向き・下向きとするかは流派や文献によって異なり、ほぼ同じムドラーとして扱われる場合もあります。

  • やり方
    親指と人差し指の先を軽く触れ合わせ、輪をつくります。中指・薬指・小指は、力を入れず自然に伸ばします。楽な姿勢で座り、両手を膝や太ももの上に置きましょう。
    手のひらの向きについては異なる伝え方があるため、ここでは特定の向きに限定せず、無理なく手を置ける形で実践します。
  • 伝統的な意味
    ギヤーナ・ムドラーは、知識や智慧、意識などを象徴するムドラーとして伝えられています。
    親指と人差し指が触れ合う形にも象徴的な意味が与えられ、個人の意識と、より大きな意識とのつながりを表すとする解釈があります。
    こうした意味はヨガやインド思想における伝統的な考え方のひとつで、解釈は流派や文献によって異なります。
  • 実践のポイント
    楽に座り、両手を膝や太ももの上に置きます。指先を強く押しつけず、親指と人差し指が触れている感覚や自然な呼吸に意識を向けてみましょう。
    「集中しなければ」と力まず、まずは1〜3分ほど、呼吸や手の感覚を観察する時間として取り入れてみてください。

チン・ムドラー(Chin Mudra)

チン・ムドラーは、親指と人差し指を軽く合わせて輪をつくり、残りの3本の指を自然に伸ばすムドラーです。日本のヨガでは、手のひらを上に向けて膝や太ももの上に置く形が、チン・ムドラーとしてよく紹介されています。

よく似たものにギヤーナ(ジュニャーナ)・ムドラーがあります。両者を手のひらの向きで区別する説明もありますが、どちらを上向き・下向きとするかは流派や文献によって異なり、同じ手の形をほぼ同じ名称として扱う場合もあります。

YOGAYOGAでは、こうした違いがあることを踏まえ、「チン・ムドラー=手のひらを上向き」を基本形として紹介します。

  • やり方
    親指と人差し指の先を軽く触れ合わせ、輪をつくります。中指・薬指・小指は自然に伸ばし、手のひらを上に向けて両手を膝や太ももの上に置きます。
    肩や腕、指先には余計な力を入れず、楽な状態を保ちましょう。
  • 伝統的な意味
    チン・ムドラーは、意識や智慧などと関連づけて伝えられてきたムドラーです。
    親指と人差し指が触れ合う形を、個人の意識と大きな意識とのつながりとして捉える伝統的な解釈もあります。
    ムドラーに込められた意味や解釈にはさまざまな伝え方があり、手の形そのものに医学的な効果が確認されているという意味ではありません。
  • 実践のポイント
    楽な姿勢で座り、手のひらを上に向けて両手を膝や太ももの上に置きます。親指と人差し指が触れている感覚、手の温かさ、呼吸のリズムなどに静かに意識を向けてみましょう。
    瞑想を始めるときや、ヨガの前後に短い時間取り入れることもできます。

アンジャリ・ムドラー(Anjali Mudra)

アンジャリ・ムドラーは、胸の前で左右の手のひらを合わせるムドラーです。

ヨガクラスの始まりや終わりなどでもよく見られる形で、日本では「合掌」として馴染みのある手の形でもあります。

  • やり方
    胸の前で両手のひらを合わせ、指先を上に向けます。左右の手のひらと指をやさしく合わせ、肘や肩には余計な力を入れません。
    座った姿勢だけでなく、立った姿勢でも行うことができます。
  • 伝統的な意味
    「アンジャリ」には、敬意や捧げものといった意味があり、アンジャリ・ムドラーは感謝、敬意、祈りなどを表す手の形として用いられてきました。
    ヨガでは、自分自身や周囲への敬意を表したり、練習の始まりや終わりに意識を向けたりする際にも用いられます。
    また、宗教的な場面だけでなく、挨拶や感謝を表すジェスチャーとして目にすることもあります。
  • 実践のポイント
    背筋を無理のない範囲で伸ばし、胸の前で両手をやさしく合わせます。肩の力を抜き、左右の手のひらが触れている感覚を感じながら、自然な呼吸を続けてみましょう。
    ヨガを始める前に自分の身体や呼吸へ意識を向けたり、練習の最後に静かな時間をつくったりするときにも取り入れやすいムドラーです。

ディヤーナ・ムドラー(Dhyana Mudra)

ディヤーナ・ムドラーは、両手を重ねて膝や下腹部の前に置く、瞑想と深く結びついたムドラーです。

「ディヤーナ(Dhyana)」は、サンスクリット語で「瞑想」を意味する言葉です。仏教美術でも、瞑想する仏像などに見られる手の形として知られています。

  • やり方
    楽な姿勢で座り、両手のひらを上に向けます。左手の上に右手を重ね、両手の親指の先を軽く触れ合わせます。手全体で楕円形や三角形をつくるような形になります。重ねた手は膝や下腹部の前に自然に置き、肩や腕には余計な力を入れないようにします。
    ※手の重ね方や親指の形については、伝統や流派によって異なる場合があります。
  • 伝統的な意味
    ディヤーナ・ムドラーは、瞑想や内観、心の静けさなどを象徴するムドラーとして伝えられています。左右の手を重ねた形には、調和やバランスといった象徴的な意味を持たせる解釈もあります。
    ヨガだけでなく仏教の伝統や宗教美術でも見られ、静かに内面へ意識を向ける姿を象徴する手の形として知られています。
  • 実践のポイント
    背筋を無理のない範囲で伸ばし、両手を楽な位置に置きます。手の形を保つことに力を使いすぎず、手の重さや温かさ、自然な呼吸に意識を向けてみましょう。
    瞑想するときに取り入れる場合も、何か特別な状態を目指すのではなく、そのときの呼吸や身体の感覚を静かに観察してみてください。

アバヤ・ムドラー(Abhaya Mudra)

アバヤ・ムドラーは、片方の手を上げ、手のひらを正面に向けるムドラーです。

仏像などでも見かけることがあり、ヨガのポーズというより、インドの宗教や文化のなかで長く受け継がれてきた象徴的なジェスチャーのひとつです。

  • やり方
    片方の手を胸から肩くらいの高さまで上げ、手のひらを前方へ向けます。指は自然にそろえて上へ伸ばし、手首や肩には余計な力を入れません。反対側の手は、膝や太ももの上など楽な位置に置きます。
    立った姿勢でも座った姿勢でも形をつくることができます。
  • 伝統的な意味
    「アバヤ(Abhaya)」には、「恐れがない」「恐れから離れる」といった意味があります。
    アバヤ・ムドラーは、恐れのなさ、安心、保護などを象徴する手の形として、ヒンドゥー教や仏教などの宗教美術に広く見られます。
    神像や仏像が手のひらをこちらへ向けている姿には、「恐れなくてもよい」という象徴的なメッセージが込められていると解釈されています。
  • 実践のポイント
    肩をすくめないようにしながら、片手を無理のない高さまで上げます。手のひらや指を緊張させず、自然な呼吸を続けてみましょう。
    伝統的な意味を思い浮かべながら手の形をつくってみるのも、ムドラーの文化的な背景に触れる楽しみ方のひとつです。

ヴァラダ・ムドラー(Varada Mudra)

ヴァラダ・ムドラーは、手のひらを開き、外側や下方へ向ける形で表されるムドラーです。

アバヤ・ムドラーと同じように、ヒンドゥー教や仏教の神像・仏像などでも見られる象徴的な手の形です。

  • やり方
    片方の腕を身体の横や前方へ自然に伸ばし、手のひらを開きます。手のひらは前方からやや上向き、または下向きに表されることがあり、指は自然に伸ばします。肩や肘に力を入れず、腕を無理のない位置に保ちましょう。
    ヴァラダ・ムドラーにはさまざまな表現があり、手の向きや位置は伝統や図像によって異なります。
  • 伝統的な意味
    「ヴァラダ(Varada)」は、願いをかなえることや恩恵を与えることなどと関連する言葉です。ヴァラダ・ムドラーは、与えること、慈悲、寛容、恵みなどを象徴する手の形として伝えられています。
    宗教美術では、神仏が人々へ慈悲や恩恵を差し出す姿を表すものとして見ることができます。
  • 実践のポイント
    腕や手を自然に伸ばし、手のひらをやさしく開きます。形を正確に再現することよりも、肩や腕に余計な力を入れず、楽な姿勢で行うことを大切にしましょう。
    「与える」「受け取る」「慈しむ」といった伝統的な意味を知ったうえで手の形をつくると、ムドラーが持つ文化的な背景にも目を向けやすくなります。

プラーナ・ムドラー(Prana Mudra)

プラーナ・ムドラーは、親指・薬指・小指の先を合わせ、人差し指と中指を伸ばしてつくるムドラーです。

「プラーナ(Prana)」は、ヨガの伝統で「生命エネルギー」や「生命の力」などを表す言葉です。

  • やり方
    親指の先に、薬指と小指の先を軽く触れ合わせます。人差し指と中指は、力を入れず自然に伸ばします。両手で同じ形をつくり、膝や太ももの上など楽な位置に置きます。手のひらは上向きにしても構いません。
  • 伝統的な意味
    プラーナ・ムドラーは、その名前のとおり、ヨガで「生命エネルギー」を意味するプラーナと結びつけて伝えられているムドラーです。
    活力や生命力、内側にあるエネルギーを象徴する手の形として紹介されることがあります。
    ただし、ここでいう「プラーナ」はヨガの伝統的な考え方に基づくもので、現代医学におけるエネルギーや身体機能と同じ意味ではありません。
  • 実践のポイント
    指先を強く押し合わせる必要はありません。軽く触れる程度にして、肩や腕の力を抜きましょう。自然な呼吸を続けながら、3本の指が触れている感覚や手の温かさなどに意識を向けてみます。「エネルギーを感じなければ」と考えず、そのときの呼吸や身体の感覚を観察しながら取り入れてみましょう。

アパーナ・ムドラー(Apana Mudra)

アパーナ・ムドラーは、親指・中指・薬指の先を合わせ、人差し指と小指を伸ばしてつくるムドラーです。

ヨガでは「アパーナ」という言葉が、身体の下方へ向かう働きを持つプラーナの一つとして伝えられています。

  • やり方
    親指の先に、中指と薬指の先を軽く触れ合わせます。人差し指と小指は、無理のない範囲で自然に伸ばします。両手で同じ形をつくり、膝や太ももの上に置いて、肩や腕をリラックスさせます。
  • 伝統的な意味
    ヨガの伝統では、「アパーナ」は下向きに働くエネルギーとされ、排出や手放すことなどと関連づけて説明されてきました。そのためアパーナ・ムドラーも、不要なものを手放すことや、内側を整えることを象徴するムドラーとして紹介されることがあります。
    「デトックス」「消化を改善する」といった身体的な効果として紹介されることもありますが、こうした表現は伝統的な考え方に基づくものとして捉え、医学的な効果とは分けて考えましょう。
  • 実践のポイント
    指先を軽く合わせ、手全体に余計な力を入れないようにします。自然な呼吸を続けながら、息を吐く感覚や指先の触れている感覚などを静かに観察してみましょう。伝統的な「手放す」という意味を知ったうえで、ゆったりとした瞑想の時間に取り入れてみるのもよいでしょう。

スーリヤ・ムドラー(Surya Mudra)

スーリヤ・ムドラーは、薬指を曲げ、その先を親指の付け根付近に置き、親指でやさしく押さえてつくるムドラーです。

「スーリヤ(Surya)」はサンスクリット語で「太陽」を意味し、インドの伝統では太陽や火、明るさなどと結びつけて考えられています。

  • やり方
    薬指を手のひら側へ曲げ、薬指の先を親指の付け根付近に置きます。その上から親指をやさしく添えます。人差し指・中指・小指は自然に伸ばします。両手で同じ形をつくり、膝や太ももの上など楽な位置に置きます。
  • 伝統的な意味
    スーリヤ・ムドラーは、「太陽」を意味するスーリヤの名を持ち、太陽の明るさや温かさ、活力などを象徴するムドラーとして伝えられています。伝統的な説明では「火の要素を高める」といった表現が使われることもあります。
    また、「代謝を高める」「体重管理に役立つ」といった健康効果として紹介されることがありますが、こうした作用がムドラーそのものによって得られると医学的に確立されているわけではありません。
  • 実践のポイント
    薬指を強く折り曲げたり、親指で強く押したりしないようにしましょう。手や指に痛みや違和感がある場合は、形をゆるめるか中止します。
    自然な呼吸を続けながら、手の感覚や呼吸に注意を向けてみましょう。「太陽」や「明るさ」という伝統的なイメージを思い浮かべながら実践するのも、ひとつの楽しみ方です。

シュニ・ムドラー(Shuni Mudra)

シュニ・ムドラーは、親指と中指の先を軽く合わせ、ほかの3本の指を伸ばしてつくるムドラーです。

チン・ムドラーやギヤーナ・ムドラーとよく似ていますが、触れ合わせる指が人差し指ではなく中指という違いがあります。

  • やり方
    親指と中指の先を軽く触れ合わせて輪をつくります。人差し指・薬指・小指は、力を入れず自然に伸ばします。両手で同じ形をつくり、膝や太ももの上など楽な位置に置きます。
  • 伝統的な意味
    シュニ・ムドラーは、忍耐や規律、安定などを象徴するムドラーとして紹介されています。
    「シュニ(Shuni)」は、インド占星術などで土星(シャニ/Shani)と関連づけられる名称でもあり、土星が象徴する忍耐や責任、規律といった意味と結びつけて説明されることがあります。こうした意味は、インドの伝統的・象徴的な考え方に基づくものです。
  • 実践のポイント
    親指と中指は強く押し合わせず、軽く触れる程度にします。肩や腕の力を抜き、自然な呼吸を続けながら、指先が触れている感覚に意識を向けてみましょう。
    「忍耐」「落ち着いて取り組む」といった伝統的な意味を知ったうえで、静かに呼吸を観察する時間に取り入れてみるのもよいでしょう。

ヴァーユ・ムドラー(Vayu Mudra)

ヴァーユ・ムドラーは、人差し指を曲げ、その上から親指を添えてつくるムドラーです。

「ヴァーユ(Vayu)」はサンスクリット語で「風」を意味し、インドの伝統では風や空気と関わる考え方と結びついています。

  • やり方
    人差し指を手のひら側へ曲げ、人差し指の先または第2関節付近が親指の付け根に近づくようにします。その上から親指をやさしく添えます。中指・薬指・小指は、無理のない範囲で自然に伸ばします。両手で同じ形をつくり、膝や太ももの上など楽な位置に置きます。
  • 伝統的な意味
    ヴァーユ・ムドラーは、「風」を意味するヴァーユと結びつけて考えられてきたムドラーです。ヨガやアーユルヴェーダの伝統的な説明では、身体のなかの「風の要素」と関連づけて紹介されることがあります。
    「体内の風を整える」「関節の不調を和らげる」といった説明を目にすることもありますが、こうした作用がムドラーそのものによって得られると医学的に確立されているわけではありません。
  • 実践のポイント
    人差し指を強く曲げたり、親指で強く押さえたりしないようにしましょう。指や手首に違和感がある場合は、形をゆるめるか実践を中止します。自然な呼吸を続けながら、手の感覚や呼吸のリズムを観察してみましょう。

ハキニ・ムドラー(Hakini Mudra)

ハキニ・ムドラーは、左右の手の指先をそれぞれ軽く触れ合わせてつくるムドラーです。

両手の間に丸い空間をつくるような形になるのが特徴で、ほかのムドラーとは少し違った見た目をしています。

  • やり方
    両手を胸やお腹の前に持ち上げ、左右の手のひらを少し離して向かい合わせます。親指は親指、人差し指は人差し指というように、左右の同じ指の先をそれぞれ軽く触れ合わせます。手のひら同士は合わせず、両手の間に空間を残します。肩や腕に力が入らない、楽な高さで行いましょう。
  • 伝統的な意味
    ハキニ・ムドラーは、集中や意識、知性などと関連づけて紹介されるムドラーです。
    「ハキニ」はヨガやタントラの伝統に登場する象徴的な存在の名称でもあり、現代のムドラー解説では集中や記憶、思考などと結びつけて説明されることがあります
    「脳を活性化する」「記憶力を高める」といった効果として紹介される場合もありますが、ムドラーそのものにそのような医学的効果が確立されているわけではありません。
  • 実践のポイント
    左右の指先は押し合わず、そっと触れる程度にします。両手の間にできる空間や、左右の指先が触れている感覚に意識を向けながら、自然な呼吸を続けてみましょう。
    考え事を始める前や、短い瞑想の時間などに、「今ここに意識を向けるための手の形」として取り入れてみるのも一つの方法です。

12種類のムドラーを一覧で比較

ここで紹介する12種類のムドラーを一覧で見比べてみましょう。手の形や伝統的に伝えられている意味には、それぞれ違いがあります。気になるムドラーが見つかったら、下の詳しい解説でやり方や実践のポイントも確認してみてください。

ギヤーナ・ムドラー

伝統的な意味:知識や智慧、意識

チン・ムドラー

伝統的な意味:意識、智慧

アンジャリ・ムドラー

伝統的な意味:感謝、敬意、祈り

ディヤーナ・ムドラー

伝統的な意味:瞑想や内観、心の静けさ

アバヤ・ムドラー

伝統的な意味:恐れのなさ、安心、保護

ヴァラダ・ムドラー

伝統的な意味:与える、慈悲、寛容、恵み

プラーナ・ムドラー

伝統的な意味:
生命力、活力、内なるエネルギー

アパーナ・ムドラー

伝統的な意味:
下向きの流れ、手放すこと、浄化

スーリヤ・ムドラー

伝統的な意味:
太陽、温かさ、活力

シュニ・ムドラー

伝統的な意味:忍耐や規律、安定

ヴァーユ・ムドラー

伝統的な意味:風、空気

ハキニ・ムドラー

伝統的な意味:集中、意識、知性


初心者はどのムドラーから試す?

12種類のムドラーを見て、「どれから試せばいいの?」と迷った方は、まず手の形がシンプルで、無理なくつくれるものから始めてみましょう。

初心者にも取り入れやすいのが、「ギヤーナ・ムドラー」「アンジャリ・ムドラー」「ディヤーナ・ムドラー」です。

  • ギヤーナ・ムドラーは、親指と人差し指の先を軽く合わせるシンプルな形です。楽な姿勢で座り、手を膝や太ももの上に置いて実践できます。
  • アンジャリ・ムドラーは、胸の前で両手のひらを合わせる、ヨガでも馴染みのある形です。ヨガの始まりや終わりなどにも取り入れやすいでしょう。
  • ディヤーナ・ムドラーは、座った姿勢で両手を重ねてつくります。手を膝の上で休ませながら、ゆっくり呼吸や自分の感覚に意識を向けてみたいときにも取り入れやすいムドラーです。

もちろん、この3つから始めなければならないわけではありません。写真を見て「この形を試してみたい」と感じたムドラーから選んでも大丈夫です。

最初から伝統的な意味をすべて覚えたり、手の形を完璧につくったりする必要はありません。まずは気になるムドラーをひとつ選び、実際に手を動かしてみることから始めてみましょう。

ムドラーを実践するときのポイント

ムドラーは特別な道具を使わず、座った姿勢などで気軽に取り入れることができます。

手の形をきれいにつくることよりも、身体に余計な力を入れず、心地よく続けられることを大切にしましょう。

  1. 楽な姿勢で行う
    あぐらや正座など、無理なく座れる姿勢を選びます。床に座るのがつらい場合は、椅子に座って行っても構いません。
    背筋は無理に伸ばそうとせず、肩や首に力が入らない楽な姿勢をとりましょう。
  2. 指先に力を入れすぎない
    ムドラーでは指先を合わせたり、指を曲げたりする形がありますが、強く押しつける必要はありません。指先は軽く触れる程度にし、手や手首にも余計な力が入らないようにします。
    形をつくりにくい場合は、無理に指を伸ばしたり曲げたりせず、自分が心地よく保てる範囲で行いましょう。
  3. 自然な呼吸を続ける
    ムドラーをつくったら、まずはいつもの自然な呼吸を続けてみましょう。呼吸を無理に深くしたり、一定のリズムに合わせたりする必要はありません。
    息が入ってくる感覚や吐いていく感覚、呼吸に合わせて身体がわずかに動く様子などを静かに観察してみます。
  4. 最初は短い時間から
    初めてムドラーを実践するときは、長時間続ける必要はありません。まずは1〜3分ほどから始め、慣れてきたら自分が心地よく続けられる範囲で時間を調整してみましょう。
    ヨガの前後や短い瞑想の時間など、日常生活のなかで取り入れやすいタイミングを見つけるのもおすすめです。
  5. 痛みや違和感があれば無理をしない
    手や指、手首などに痛みや違和感を感じた場合は、形をゆるめるか実践を中止しましょう。
    関節の動かしにくさなどがある場合も、写真とまったく同じ形にしようとする必要はありません。ムドラーの形を完成させることよりも、自分の身体に無理のない方法を選ぶことを大切にしてください。
  6. 「何かを感じなければ」と考えなくて大丈夫
    ムドラーについて調べると、「エネルギーを感じる」「心が変化する」といった説明を目にすることがあります。しかし、実践したからといって、必ず何か特別な感覚が生まれるわけではありません。
    「何も感じない」と判断するのではなく、指先が触れている感覚、手の温かさ、その日の呼吸の速さなど、今感じられることに静かに意識を向けてみましょう。

同じムドラーでも、その日の身体や気分によって感じ方が違うかもしれません。効果を求めすぎず、自分の感覚を観察する時間として楽しんでみてください。

気になるムドラーから試してみよう

ムドラーにはさまざまな種類があり、それぞれに異なる手の形や、長い歴史のなかで伝えられてきた意味があります。

今回紹介した12種類をすべて覚える必要はありません。写真を見て気になったものや、手の形をつくりやすそうだと感じたものを、まずはひとつ選んでみてください。

楽な姿勢で手の形をつくったら、ゆっくりと自然な呼吸を続けながら、指先が触れている感覚や手の温かさ、その日の身体や気持ちに意識を向けてみましょう。

ムドラーの伝統的な意味を知ることも楽しみのひとつですが、「このムドラーをすれば必ず○○になる」と効果を求めすぎる必要はありません。

同じムドラーでも、その日の自分によって感じ方が違うかもしれません。ヨガや瞑想の時間に少しずつ取り入れながら、自分にとって心地よい楽しみ方を見つけてみてください。

ムドラーの歴史や基本的な意味、ヨガとの関わりについてもっと詳しく知りたい方は、入門編の「ヨガのムドラーとは?5種類の意味・手の形・実践方法」もあわせてご覧ください。

「そもそもムドラーについてもっと知りたい」という人は入門編の記事へ
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RENYOGINI
RENYOGINI

RENYOGINIは、ヨガの講師〜ヨガスタジオ経営を経て、現在はヨガの情報発信を中心に活動しています。

「ヨガバイブル YOGA YOGA」は、ヨガへの敷居を少しでも低くし、「身体が硬くても」「年齢を重ねてからでも」自分に合った方法でヨガを楽しめることを伝えるために立ち上げました。特にこれからヨガを始める方やシニアの方が、「これなら私にもできそう」と思えるような情報を、これまでの指導経験や自身の実践経験を交えながら発信していきます。

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