座ってできるストレッチや椅子ヨガ

ヨガ

椅子に座りっぱなしは肥満や寿命に関係

日本人は世界で一番座っている時間が長いと言われます。実際、座ったままの時間の世界平均が1日5時間であるのに対し、日本人は7時間というデータが出ています。

しかし1日のうち長時間を座りっぱなしでいることが、肥満度や寿命に影響することは、既に研究で明らかになっています。身体の筋肉のうち70%を占める足を動かさないことにより、血流や代謝機能が低下してしまうことが影響するようです。

例え普段運動する人であっても、座ってパソコンやテレビを観る時間が長いとリスクが上がることも示されています。

健康増進施設などで運動プログラムを定期的に実施していても、生活の中で座りすぎている場合は、座りすぎていない人と比較して、寿命は短く、肥満度が高く、2型糖尿病罹患率や心臓病罹患率が高いことが報告されています。

厚生労働省「座位行動

健康寿命を伸ばすということは、「動けるうちに体を動かす」ということです。健康への危機感は、4〜50代以上にならないと実感することはなかなか難しいことだと思います。それと同じように健康なシニアも、実際に体を自由に動かせなくなるまで「体を動かす習慣の重要性」を、自分のこととしてなかなか捉えにくい傾向があります。

しかし動けなくなってから気が付くのでは、手遅れになってしまいます。今すぐにでも体に関する知識を得て、動けるうちに体を動かす大切さの意味を理解できれば、積極的に生活習慣に取り入れていけると思います。

座ったままできる椅ヨガやストレッチの魅力

長時間の座りすぎを避けるため、30分に一度は立ち上がって軽いエクササイズやストレッチをしたり、家の中を歩いて移動することが推奨されています。

とはいえ体力に不安のある方の場合、立ち上がってエクササイズをすることも難しいかもしれません。また住居環境などの問題で、十分なスペースを確保できないこともあります。そのようなケースでは、椅子に座ったままできるヨガやストレッチがとてもお勧めです。

椅子に座ったままできるエクササイズを続けていくうちに体力がつき、立ってエクササイズをしたり、歩き回ることも楽にできるようになる効果も期待できます。そうなれば体力面の問題で家に篭りがちだった人も、外出する楽しみが増えるかもしれませんね。想像するだけでワクワクしてきませんか?

座ったままできる簡単ストレッチ

長い時間同じ姿勢でいることは、その姿勢を維持するのに必要な特定の筋肉に負担をかけ続けることになります。それにより酷使された筋肉は硬くなり、体のコリの原因になってしまいます。そのようにして肩こりや首こり、腰痛などを引き起こすのです。

肩くや首、腰などのコリを引き起こさないためにも、30分に一度は筋肉を緩めたり伸ばしたりしてあげることはとても効果的です。

体側伸ばし

日常生活で伸ばす動作がなかなかないのが「体側」です。体側ストレッチは上半身を効率的に伸ばすことのできるので、座りっぱなしや立ちっぱなしの人にも、リフレッシュに取り入れることをお勧めします。

体側ストレッチをすることで、背中側や胸部の強張りを緩和し、肩こり・腰痛の予防と改善になり、呼吸をしやすくする効果にもつながります。また良い姿勢を維持することにも効果のあるストレッチです。

【座り姿勢でのやり方】

  1. 椅子に深く座り、座面に左右の坐骨を均等になるように乗せます。
  2. 左手で座面に当ててサポートしながら、右手を真上にまっすぐ伸ばします。
  3. 右のお尻が座面から浮かないよう重みをかけながら、左の体側を縮めながら右の脇下を上方向へ伸ばしていきます。右の体側が伸ばされることを意識しましょう。
  4. さらにストレッチを深めるためには、坐骨と右脇とで引っ張り合うような意識で体側を伸ばします。右手で誘導するように右の脇の下をやや左上方向へ引っ張り上げることで、よりストレッチが強まります。呼吸は止めず、自然な呼吸をし続けましょう。
    上体の倒し方を深めると、腰のストレッチになります。
  5. 反対の体側も同じ要領で行います。

【立ち姿勢でのやり方】

  1. 足を腰幅より少し広めにして、まっすぐ姿勢良く立ちます。
  2. 左手は楽に下ろしたまま、右手をまっすぐ上に伸ばします。腰がぶれないように、お腹とお尻の力で骨盤を立てて安定させておきます。
  3. 左の肩を下げながら左の体側を縮め、右腰と右脇の下とで引っ張り合うようにして右の体側を伸ばします。上体を反対側へ倒すことより、右の脇の下を上方向へ引っ張り上げることを意識しましょう。
  4. さらにストレッチを深めるには、右手で誘導しながら右脇の下をやや左上方向へ引き上げていきましょう。その際、左腕を右手と反対方向へ伸ばすことで安定感を得ることができます。呼吸が止まらないように気をつけましょう。
  5. 反対の体側も同じ要領で行います。

キャットカウ(背中・肩甲骨周りのストレッチ)

ヨガやピラティスなどマットの上でよく行われる「キャットカウ」は、椅子に座った姿勢でも行うことができます。背中全体の筋肉を伸ばすので、疲労の回復や血流改善になり、肩こり・首こり・腰痛などの予防・緩和に役立ちます。またこの動きにより背骨のしなやかさを回復し、姿勢改善にもつながります。

【やり方】

  1. 椅子にやや浅めに姿勢良く座り、骨盤を立てて脚を腰幅にします。手は膝の上に自然に置きます。
  2. 息を吸って吐きながら、骨盤をゆっくり後ろへ転がしていきます。みぞおちを引き込みながら肩甲骨の間の背骨を後方へ突き出す意識で背中を丸め、目線はおへそへ向けます。
  3. 息を吸って吐きながら、ゆっくりと骨盤を前へ転がしていきます。突き出した肩甲骨の間の背骨を引っ込めて前方へ押し出しながら胸を開き、目線を上げます。
  4. 2〜3の動きを10回繰り返します。
    肩の高さが変わらないように、骨盤から動かすことを意識してゆっくり丁寧に行いましょう。

座ったままできる簡単エクササイズ

下半身エクササイズ

健康維持のために最も大事なことは下半身の筋力アップです。日常生活において立ったり歩いたりすることは不可欠なです。1日20分以上のウォーキングが寿命を伸ばすとも言われ、下半身を鍛えておくことは非常に大切なのです。

外を歩くことに不安がある人も、椅子に座ったままできる下半身エクササイズで筋力を高めることができます。継続していくうちに下半身に適度な筋力がつけば、立って歩くことへの不安もなくなるでしょう。

椅子のエクササイズをする際の注意点は、ソファなどを避け、四つ脚で安定感のある椅子を使用してください。また座面の高さは、深めに座った時にも足裏(かかと)が床につくものが良いです。

膝の曲げ伸ばし

椅子に座ったまま膝を伸ばすことで、主に太ももの前の筋肉が鍛えられます。また手も伸ばすことによって腕の筋肉も同時に鍛えることができます。

【やり方】

  1. 椅子に深めに座り、背筋をまっすぐ伸ばします。座り心地に不安定感がある場合は、座る位置を深めに調整してみましょう。
    また椅子がぐらつかず、足裏がしっかり床につくことを確認しましょう。
  2. 最初は安定感を確認しながら、両手を座面の横などに手を添えた状態で行います。
    右足の膝を伸ばし、踵を前方へ押し出すように意識して、脛が床と平行になるようにします。3呼吸キープしたら、ゆっくり膝を曲げて床へ足を下ろします。
  3. 左足も同じ要領で膝を伸ばし床と平行になるようにして、3呼吸キープしてからゆっくり元の位置に戻しましょう。
  4. 安定感を確認できたら、両手を座面から離してまっすぐ肩の高さで前方に伸ばします(写真を参照)。
    腕を伸ばしたまま、2〜3 を順番に繰り返しましょう。左右1セットとして、5セット続けてみましょう。背筋を伸ばし、骨盤を立ててお腹に力をいれて行うと安定しやすくなります。
    慣れてきたら10セット行うようにしましょう。
    腕を前に伸ばすことで、同時に腕の筋力アップも期待できます。

    ※膝や股関節などに違和感や痛みを感じた場合は中止し、医師に相談してください。

足踏み運動

座りっぱなしの人や、歩くと足腰が痛いという人にも、座ったままできる足踏みなら、足に体重の負担をかけずに効果的に下半身の運動、筋トレができます。

足踏みの動きによって太ももの前側太ももの裏(ハムストリングス)、階段を登るときに使う腸腰筋なども鍛えられます。その際に腕も振ることで、足踏みをリズムよく行うことができ、安定感も増します。

【やり方】

  1. 椅子にやや浅めに座り、背筋をまっすぐ伸ばします。座り心地に不安定感がある場合は、座る位置を深めに調整してみましょう。
    また椅子がぐらつかず、足裏がしっかり床につくことを確認しましょう。
  2. 最初は安定感を確認しながら、両手を座面の横などに手を添えた状態で行います。
    「1、2、」と心の中で数えながら、歩くように膝を交互に上に持ち上げましょう。
  3. 安定感が確認できたら、座面から両手を離して、歩く時のように肘を曲げて腕を前後に振りながら 2.の要領で膝の上げ下げを行いましょう。背中や腰が丸まらないよう気をつけながら、まず3分継続してみましょう。
  4. 3分間できたら、同じことを5回繰り返しましょう。慣れてきたら休みを入れずに10分、15分と時間をのばし、20分継続を目標にすると良いでしょう。

    ※膝や股関節などに違和感や痛みを感じた場合は中止し、医師に相談してください。

全身エクササイズ

戦士のポーズ2

椅子を使ってヨガのポーズ「戦士のポーズ2」を行うことで、腕や体幹を強化し、股関節の柔軟性を向上させる効果が期待できます。

【やり方】

  1. 椅子の前端の方へ座ります。
  2. 左脚を椅子の左側へ移動させ、つま先を膝と同じ方向へ向けます。
  3. 上体を、お尻から座り直すようにして左脚の方へ向けます。
  4. 右脚を椅子の右側へ移動させて跨ぎ、後方へ伸ばします。左足先は、開いた両脚に対して垂直になるように向けるか、つま先を下へ寝かしても良いです。
    膝が伸びにくい人は、無理をして伸ばしすぎないよう注意します。
  5. 背筋を伸ばして姿勢を正し、息を吸って両手を頭上へ上げます。吐く息で両手を前後に開いて肩の高さまで下ろし、目線は左の指先に向けます。
  6. ゆっくり呼吸を続けながら30秒キープしたら元に戻ります。慣れてきたら、キープ時間は徐々に長くしてみましょう。
  7. 反対側も同じ要領で行います。

ねじった椅子のポーズ

椅子を使ってヨガのポーズ「ねじった椅子のポーズ」を行うことでウエストが深く捻られ内臓が刺激されます。お腹の引き締め腸の活性化などの効果が期待できます。

【やり方】

  1. 椅子に深めに座り、腕の前で合掌します。
  2. 鼻から息を吸って、左右の腕の高さを変えずに上体を左へ捻ります。ウエストが捻られます。
  3. 左肘を天井方向へ上げるのと同時に、右肘を左の膝へ引っ掛けるか膝へ乗せます。息を吸って背筋を伸ばしましょう。
  4. 息を吐きながら、胸を開くようにして更に上体を捻り、目線は斜め上後方へ向けます。
  5. 呼吸を止めずに30秒ほどキープしたら、ゆっくり元の姿勢に戻ります。
  6. 反対側も同じ要領で行います。

椅子を利用してできるその他エクササイズ

ここまでは椅子に座ったままできるエクササイズについてご紹介してきましたが、椅子はエクササイズの道具として利用することもできます。専用器具を購入したりジムに通わなくても、お金をかけず限られたスペースで筋力アップや脂肪燃焼トレーニングを行うことができます。

椅子を使って行うエクササイズでは特に重量があり安定感のあるタイプを選びましょう。椅子を壁側に付けて行うと安定しやすいです。

リバースプッシュアップ

「リバースプッシュアップ」は二の腕痩せたい人のヨガポーズとトレーニングでもご紹介していますが、よく「ふりそで」と呼ばれる腕の後ろ側の筋肉「上腕三頭筋」を引き締めるトレーニングです。

【やり方】

  1. 椅子の前の方に座り、両手を肩幅に広げて座面に置く、または掴む。
  2. 肘を伸ばしたままお尻を前にずらし椅子から外し、体を支える。
  3. お尻を床の方へ落としながら肘をしっかり曲げていく。
  4. 出来るところまでお尻を床に近づけたら、肘を伸ばして体(お尻)を持ち上げる。肘を伸ばす動作で上腕三頭筋が働きます。肘が伸び切るまでしっかり伸ばし、筋肉が使われていることを感じましょう。
  5. 元に戻ったら、3、4を繰り返す。10回 x 3セット行う。

ブルガリアン・スプリットスクワット

ブルガリアン・スプリットスクワットは、太もも全体を効率的に鍛えることができます。また、同時にお尻の筋肉を鍛えることもできるので、ヒップアップ効果も期待できます。

【やり方】

  1. 椅子の前側に背中側を向けて立ち、右足を一歩前に出します。
  2. 左足のつま先を椅子の座面に置き、両手は胸の前で組むか、腰に置きます。
  3. 上体が前に倒れすぎないよう姿勢を正し、腹筋に力をいれて骨盤を立てます。
  4. 息を吸って吐きながら右膝を曲げてお尻を真下へ落とし、右ももが床と平行になるまで膝を曲げます。このときに右膝が右のつま先より前に出ないように調整しましょう(無理に飛ぶように右足を移動させず、一旦 1. に戻って椅子と立つ位置を調整しましょう)。
  5. 右足の踵で床を押すようにして踏ん張り、お尻を真上に戻しながら右膝を伸ばします。元の姿勢に戻りましょう。
  6. 同じことをゆっくりと10回繰り返します。特に、戻る動きをゆっくり行うことで効果が高まります。
  7. 反対側も同じ要領で行います。

インクライン・マウンテンクライマー

椅子を使って脂肪燃焼をしたい場合に効果的なのが「インクライン・マウンテンクライマー」です。腹筋を鍛えることもできるので、最初は休み休みでも良いので、継続して行ってみましょう。

【やり方】

  1. 椅子の座面に肘から下を置き(または座面横を手で握り)、両足つま先を椅子から離れた位置につけます。
  2. 頭からかかとまでが一直線にして、プランクの姿勢になります。お腹に力をいれてお尻が下がらないよう気をつけましょう。
  3. 腹筋を意識したまま、腿上げの要領で右の膝をお腹の方へ近づけます。
  4. 右足を元の位置に戻し、今度は左の膝を腹部へ近づけてから元に戻します。
  5. 3〜4の動きを繰り返し、左右の膝を交互に腹部へ近づけます。お尻の位置が上下にぶれないよう腹筋をしっかり使いましょう。
    慣れてきたらスピードアップして30秒行います。
  6. 30秒を3セット繰り返します。
    慣れたら1セットの時間をのばしたり、セット数を増やしたりしていきましょう。

まとめ

座りっぱなしも立ちっぱなしも、長時間同じ姿勢でいることは偏った筋肉ばかり使うことになりコリやハリの原因になります。

30分に一度、1〜2分でもよいので体を動かすことでリフレッシュになりますので、意識して生活してみましょう。

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